BTS「NORMAL」個別Stage CAM考察|7人それぞれの表現から見えたBTS 2.0
― 7人が違うから、一つのステージになる
BTS『NORMAL』のステージを、これまで何度も見てきました。
7人の歌声やラップ、それぞれの個性が重なりながら、
ひとつの曲を作り上げていく。
Live Clipを見たときにも、ボーカルとラップ、
それぞれが違う役割を持つことで、
『NORMAL』という曲に奥行きが生まれていると感じました。
でも今回、メンバー一人ひとりを追い続ける個別のStage CAMを見てみると、
また違ったものが見えてきました。
同じ曲を歌い、同じステージに立っているのに、
7人の『NORMAL』の表現方法は驚くほど違います。
そして面白かったのは、自分のパートを歌っているときだけではありません。
自分が歌っていない時間に、何をしているのか。
メンバーの歌を聴いている人。
会場を盛り上げる人。
感情を身体いっぱいに表現する人。
観客をステージの世界へ引き込む人。
そして、自分が伝えるべき瞬間が来るまで
静かにエネルギーを蓄えているように見える人。
7本のStage CAMを見比べていくと、
それぞれが自分の強みを理解しながら、
『NORMAL』というひとつの曲を7人で作り上げていることが見えてきました。
今回は、個別Stage CAMから見えた7人それぞれの『NORMAL』を追ってみたいと思います。
RM|『NORMAL』の核心を、言葉と身体で突きつける
『NORMAL』の始まりを告げるのは、RMの力強い第一声。
腕を高く上げて登場する姿は堂々としていて、
どこか凱旋将軍のようにも見えます。
衣装も他のメンバーとは少し違う印象で、
最初からRMという存在を強く感じさせます。
でも個別CAMを見続けていると、
ずっと同じ強さで押し続けているわけではありません。
ほかのメンバーが歌っている場面では、
音楽に身体を預けるようにリズムを取りながら、
比較的自然体でステージに立っています。
そして、自分のメインとなるラップパートへ。
ここで空気が一気に変わります。
「逃げ出して、押されて、引かれて」
そして、自分自身の一部に苦しめられていく。
『NORMAL』の中に描かれている葛藤を言葉にする場面で、
RMは身体全体を使いながら、力強く観客へ訴えかけます。
個別CAMでRMだけを追っていると、
まるでこの瞬間へ向けてステージ全体のピークを作っているようにも感じました。
すべての場面で自分を押し出すのではなく、
伝えるべき言葉が来た瞬間に最大のエネルギーを使う。
言葉に意味を与え、それを観客へ届ける。
RMらしい『NORMAL』の表現なのだと思います。
SUGA|静かに曲全体を見つめる人
ユンギの個別CAMは、とても静かです。
もちろん自分のラップパートでは、一瞬でSUGAの世界へ変えてしまう。
でも、それ以外の時間は身体でリズムを取りながら、
メンバーの歌声に合いの手を入れたり、
ステージ全体の流れを見ているように感じます。
前へ出ようとする感じがほとんどありません。
『NORMAL』という曲が伝えようとしているものを
音楽として形にするうえで大きな役割を担ったユンギ。
その世界をメンバーそれぞれが自分なりの方法で表現している姿を、
少し離れた場所から見守っている。
私には、そんなふうにも見えました。
自分が作った世界を、自分一人で説明しようとしない。
曲を7人へ渡し、それぞれの表現を信頼する。
そんなユンギの姿が、とても印象的でした。
J-HOPE|ステージ全体にエネルギーを循環させる人
ホビは、自分がメインで歌っていない時間がとても面白い。
表情がとにかく豊かで、身体を大きく使いながら、
ほかのメンバーのパートにもエネルギーを送り続けています。
自分がセンターにいるときだけステージを盛り上げるのではありません。
誰かが歌っているときも、その人のパートがさらに盛り上がるように、
自分の表情や動きでステージ全体の熱量を上げていく。
まさにJ-HOPE。
自分が輝くだけではなく、周りまで明るくする人。
個別CAMだからこそ、通常のステージ映像では映らない時間にも、
ホビがずっとステージを作り続けていることがよく分かります。
希望を届ける人というのは、
こういうことなのかもしれない。
そんなことまで感じさせてくれるStage CAMでした。
JIMIN|感情を全身で体現する
ジミンのStage CAMでまず目を奪われたのは、その感情表現でした。
表情だけではありません。
身体の動き、視線、指先、そして動くたびに揺れるロングヘアまで、
すべてが『NORMAL』の世界の一部になっているように見えます。
以前からジミンは、身体を使って感情を表現することに長けた人でした。
でも今のジミンを見ていると、「美しく魅せる」だけではない。
苦しさも、荒々しさも、解放感も、
その瞬間にある感情をそのまま身体へ通して外へ出しているように感じます。
そこに見えるのは、ひとりの大人の表現者として成熟したJIMIN。
感情そのものになって、曲を生きる。
そんな言葉が似合う『NORMAL』でした。
V|観客を『NORMAL』の世界へ引き込む
テテも、ポイントでは強烈な存在感を見せます。
ほんの一瞬の視線や表情だけで、画面を自分のものにしてしまう。
Vには、もともとそんな力があります。
でも今回のStage CAMでは、
その力をずっと自分へ向けさせているわけではないことが印象的でした。
自分が前へ出るべきところでは、しっかりとVを見せる。
それ以外では、観客へ働きかけながら会場を盛り上げ、
7人が作るステージの中へこちらを引き込んでいく。
「僕を見て」というより、
「一緒にこのステージを楽しもう」
と言っているようにも感じます。
自分には人の視線を集める力があることを知っている。
だからこそ、その力を自分だけのためではなく、
ステージ全体のために使う。
そんなVの選択が見えるようなパフォーマンスでした。
JUNG KOOK|感情を真正面から押し出す
ジョングクの『NORMAL』も、とてもエモーショナルです。
歌声はもちろん、表情や身体の動きからも感情が強く伝わってきます。
ジミンも感情を前へ出すタイプですが、
二人の表現は少し違います。
ジミンが身体全体を使って感情そのものを見せていくとすれば、
ジョングクはもっと真正面から、歌と身体で感情を観客へぶつけてくる。
そんな印象があります。
ソロ活動を経て、ジョングクの歌には以前にも増して
「自分の感情を伝える」という力が加わったように感じています。
『NORMAL』でも、その変化がはっきりと見えます。
歌が上手い人から、感情を歌で届ける人へ。
BTS 2.0のジョングクの存在感の大きさを、
改めて感じるStage CAMでした。
JIN|シルバーボイスで空気を変え、最後に余韻を残す
ジンくんは、自分の歌う場面になると、
あの透明感のあるシルバーボイスをしっかりと聴かせてくれます。
その声が入った瞬間、曲の空気が少し変わる。
でも、自分のパートが終われば、
その存在感を引っ張り続けることはありません。
今度は会場の雰囲気を盛り上げる側へ自然に回っていきます。
そして『NORMAL』の最後。
大げさに「自分が締める」と主張するのではなく、
ジンくんがさりげなく曲を終わらせます。
でも、その声が残す余韻がとても大きい。
感情を爆発させて終わるのではなく、
いろいろなものを抱えたまま、
また日常へ戻っていくような『NORMAL』。
その最後をジンくんの声が担うことで、
曲が終わったあとにも感情が残ります。
さりげないのに、残る。
この締め方は、ジンくんだからこそできるのだと思います。
7人の個別CAMから見えた、BTS 2.0
7本のStage CAMを見終わって、改めて感じたことがあります。
7人は、同じ方法で『NORMAL』を表現していません。
RMは、言葉の核心を突きつける。
SUGAは、静かに曲全体を見つめる。
J-HOPEは、ステージにエネルギーを循環させる。
JIMINは、感情を全身で体現する。
Vは、観客を曲の世界へ引き込む。
JUNG KOOKは、感情を真正面から押し出す。
そしてJINは、シルバーボイスで最後の余韻を残す。
誰か一人が「正解の『NORMAL』」を表現しているのではありません。
7人がそれぞれ違う方法で『NORMAL』を表現し、
その7つが重なったところに、私たちが見ているBTSの
『NORMAL』が生まれている。
そして今回、もうひとつ印象に残ったのが、
マンネラインの存在感でした。
ジミン、V、ジョングク。
3人ともソロ活動を経て、自分自身の表現方法を
よりはっきりと持つようになったように感じます。
BTS 2.0になって、マンネラインの存在感は確実に大きくなった。
でも、それはヒョンラインの存在感が小さくなったということではありません。
ヒョンラインは、言葉、音楽、エネルギー、声。
それぞれの強みを使いながら、ステージ全体の骨格を支えている。
その土台があるからこそ、
マンネラインも思い切り自分の表現を広げることができるのではないでしょうか。
全員が同じように目立つ必要はない。
自分の強みを知り、
「この曲の中で、自分は何を担うのか」
をそれぞれが選ぶことができる。
それは、長い時間を7人で歩き、
それぞれがソロでも自分自身と向き合ってきた今だからこそ
できることなのかもしれません。
『NORMAL』の個別Stage CAMを7本見終わったとき。
私はもう一度、7人で歌う『NORMAL』を見たくなりました。
一人ひとりを知ったあとで見る7人のステージは、
きっと最初に見たときとは、少し違って見えるはずです。
そしてそこに、今のBTS――
BTS 2.0の姿があるのだと思います。
あわせて読みたい|BTS『NORMAL』考察
『NORMAL』という一曲を、歌詞、MV、Live Clip、そして個別Stage CAMと、
さまざまな角度から考察しています。
それぞれをたどることで、この曲が伝えるメッセージと、
7人それぞれの表現、そして今のBTSの姿が、
より立体的に見えてきます。
▶︎ BTS『NORMAL』MV考察|“普通じゃない日常”を描いた7人の物語
▶︎ BTS『NORMAL』Live Clip考察|ボーカルとラップ、それぞれの役割が生む奥行き
さらに、ARIRANG収録曲の考察はこちら。
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