BTS『Merry Go Round』MV考察|降りられない、回り続ける。人生そのものがメリーゴーランド
BTS『Merry Go Round』のMVが公開されました。
この曲について、私は以前、歌詞を読みながら
「降りられない人生に、そっと寄り添う曲」なのではないかと書きました。
人生は、思い通りに止めることも、簡単に降りることもできない。
大人になっても悩みはなくならないし、
同じような毎日を繰り返しているように感じることもある。
それでも私たちは、誰かと笑ったり、一人で考えたり、
上がったり下がったりしながら生きていく。
今回MVを最初から見ていくと、そんな「回り続ける人生」が、
メリーゴーランドだけではない、
さまざまな映像によって表現されているように感じました。
回り続ける馬。
同じところを走り続ける回し車。
一人の人間の周囲を回る世界。
何度考えても答えにたどり着けない思考。
そして最後には、そのすべてを乗せたメリーゴーランドさえ、
巨大な宇宙の中を回っていきます。
このMVが描いているのは、苦しみから抜け出す方法ではなく、
「それでも続いていく人生」なのかもしれません。
まずは、公式MVをどうぞ。映像の中で繰り返される「回る」という表現にも注目して見てみてください。
『Merry Go Round』MV|考察タイムスタンプ
ここからは、印象に残った場面をタイムスタンプとともに追いながら、
『Merry Go Round』のMVが描いたものを考えていきます。
0:00頃|「YOU EVER WALK ALONE」から始まるメリーゴーランド
冒頭に映し出されるメリーゴーランドには、
「YOU EVER WALK ALONE」という言葉。
BTSの『YOU NEVER WALK ALONE』を思い起こさせるこの言葉が、
MVの最初に置かれていることが気になります。
0:14〜|ジョングクの声から始まる「壊れたジェットコースター」
曲の世界へ最初に連れていくのはジョングク。
すぐには彼だと分からないほど、いつもとは少し違って聞こえる声からも、
感情表現の広がりを感じます。
そこへジミンの声が重なり、
感情を途切れさせることなく次へつないでいきます。
0:50頃|床を流れる黒い液体
床を流れていく、黒く粘度のある液体。
血そのものとは断定できませんが、心の奥で傷つき、
血を流すような思いを抱えながら、
それでも生きていく人間の苦しみを思わせる映像です。
1:06頃|ジンへつながる声と映像
ジョングクからジミンへと重なってきた声にジンが加わり、映像も次の場面へ。
「必死にあがいても止まらない」という言葉とともに、
回り続ける人生が少しずつ7人の物語へ広がっていきます。
1:18〜|一人から、みんなで笑う日常へ
「大人になった気でいたけど、悩みは相変わらず」。
それまで一人で描かれていた世界から、みんなが一緒に過ごす日常へと変わります。
悩みがなくなったわけではない。それでも誰かと笑える時間はある。
そんな日常の一場面にも見えます。
1:29〜|「メリーゴーランドも回し車も結局は同じ」
毎日同じように続く日常。走っているのに同じところを回り続ける回し車と、
メリーゴーランドが重ねられます。
前へ進んでいるつもりでも、また同じ悩みに戻ってくる。
そんな人生の循環を感じる場面です。
1:36〜|一人になったSUGAが語る「答えのない問い」
みんなで笑う場面から一転し、ユンギが一人で曲の核心を語ります。
「答えのない問い」「迷宮の中での疾走」「みんな平気なフリして笑ってる」。
楽しい日常の裏側にも、それぞれが抱えているものがあることを言葉にしているように感じます。
1:46〜|SUGAの周囲を回り続ける世界
ユンギ自身はそこにいるのに、その周囲では映像がぐるぐると回り続けます。
答えを探して考えている間にも、時間も世界も止まってはくれない。
ここでも「回る」という動きによって、
人生そのものが表現されているように見えます。
2:10〜|馬の影が、メリーゴーランドへ変わっていく
ジミンやジンが見つめる馬の影。
その馬たちは走り、重なり、やがて画面全体が回転木馬のように回り始めます。
最初は外から眺めていたはずなのに、気づけば自分もその回転の中にいる。
人生もまた、そんなものなのかもしれません。
2:31〜|扉の奥に続く、それぞれの人生
扉の奥にはまた扉があり、その向こうに一人ひとりの姿があります。
一つを抜けても、また次がある。
そして最後にユンギが見つめるその先にあるのは、光ではなく暗闇。
人生の先に必ず明確な答えが待っているわけではないことを思わせます。
2:57〜|j-hope「ただぐるぐる、またぐるぐる」
一人きりの部屋にいるホビ。その周囲では馬が走り続け、
「僕は崩れていく」「まだ縛り付けられている」と、
曲はさらに深い場所へ向かいます。
止められない人生の輪に疲れ切った人間の感情が、強く表れる場面です。
3:06〜|止められない輪の中で叫ぶ「童心」
回り続ける人生に疲れながら、それでも内側では「童心」が叫んでいる。
大人になった今も消えていない、自分の中の何か。
その存在が、この先の歌詞につながっていきます。
3:14〜|RMが言葉にする、人生の最も暗い場所
ホビが描いた苦しさを受け取るように、
ナムジュンの言葉はさらに切迫していきます。
「もう終わりにしてくれ」と願うほど疲れ、それでも思考は止まらない。
考えて、考えて、また考える。
その思考そのものまで、メリーゴーランドのように回っています。
3:32〜|「またぐるぐる。幸せか?」
考えないようにしようと考え、結局また思考は同じ場所へ戻ってくる。
そして投げかけられる「幸せか?」という問い。
ここでも答えは示されません。
3:37〜|「笑ってよ、最後に」
まるで最後の言葉のように響くほど、切迫した「笑ってよ」という言葉。
ここまで人生の苦しさを否定せずに描いてきたからこそ、
この言葉の重さが残ります。
ラスト|メリーゴーランドは宇宙の中でも回り続ける
最後、視点は一気に人間の世界から宇宙へ。
あれほど大きく見えていた悩みも、喜びも、答えのない問いも、
すべてを乗せたままメリーゴーランドは回り続けます。
人生は止まらない。
でも、その人生そのものもまた、もっと大きな世界の中を回っている。
そんな余韻を残してMVは終わります。
MV全体が描いていたのは「回り続ける人生」なのかもしれない
『Merry Go Round』のMVを最後まで見て、
最も強く残ったのは「回る」という感覚でした。
もちろん、タイトルにもなっているメリーゴーランドは登場します。
でも、このMVで回っているのは、それだけではありません。
走り続ける馬。
同じ場所を走り続ける回し車。
一人で立つSUGAの周囲を流れていく世界。
考えても、考えても、また同じ場所へ戻ってくる思考。
そして最後には、メリーゴーランドそのものが巨大な宇宙の中に浮かびます。
つまりこのMVは、メリーゴーランドを「人生の比喩」として見せるだけではなく、
映像そのものを使って「回り続ける人生」を描いているように感じました。
止まりたいと思っても、時間は止まらない。
答えが見つからなくても、次の日はやってくる。
楽しい日も、苦しい日も、私たちはその中で生き続けていく。
『Merry Go Round』というタイトルの意味が、
MVを見ることでより立体的になったように思います。
一人で悩む時間と、誰かと笑う日常
MVの前半では、一人でいるメンバーの姿が印象的に描かれます。
冒頭で曲の世界へ連れていくのはJUNG KOOK。
いつもの彼とは少し違って聞こえるほど内側へ沈んだ声で、
「壊れたジェットコースター」のような人生を歌います。
そこへJIMINの声が重なります。
完全に歌い手が入れ替わるのではなく、
JUNG KOOKの感情を残したままJIMINが入ってくる。
その重なり方も、この曲ではとても印象的でした。
そして床には、黒く粘度のある液体が流れていきます。
それが何なのかは明示されません。
けれど私には、心の奥では血を流すように傷つきながら、
それでも毎日を生きている人間の姿を映しているようにも見えました。
そんな一人の世界から、1分18秒頃、映像は突然「みんながいる日常」へ変わります。
一緒に座り、話し、笑っている。
でも、ここで歌われているのは、
「大人になった気でいたけれど、悩みは相変わらず」
という感覚です。
ここが、この曲の優しさなのかもしれません。
誰かと笑っているからといって、
悩みがなくなったわけではない。
楽しい日常があっても、
また一人になれば考えることもある。
それでも、誰かと笑える時間は確かに存在する。
苦しみがなくなることだけが「幸せ」なのではなく、
悩みを抱えたままでも笑える瞬間がある。
そんな現実の人生を、このMVは描いているように感じます。
「メリーゴーランドも回し車も結局は同じ」
この曲の中で、私が特に印象に残ったのが「メリーゴーラウンド」と「回し車」が重ねられるところです。
どちらも動いています。
一生懸命走っている。
でも、結局は同じ場所を回り続けています。
これは、大人になってからの人生にも似ているのかもしれません。
前へ進んできたはずなのに、昔と同じことで悩んでいる。
一つ乗り越えたと思ったら、また別の問題がやってくる。
昨日とは違う一日を生きているはずなのに、
気づけば同じような毎日を繰り返している。
それでも私たちは、走ることをやめるわけにはいきません。
だからこそ「降りられない」という言葉が、何度も繰り返されるのでしょう。
人生は、進んでいるようで回っている。
でも同時に、回りながら時間は確実に進んでいる。
その矛盾そのものが、人生なのかもしれません。
「答えのない問い」――一人になったSUGAが語るもの
みんなで過ごす日常から場面が変わり、
SUGAが一人になります。
ここで曲は、さらに深い場所へ入っていくように感じました。
「答えのない問い」。
「迷宮の中での疾走」。
そして、みんな平気なふりをして笑っているけれど、
誰もがそうなのだという言葉。
ここでSUGAが語っているのは、
自分一人だけの苦しみではないように思います。
誰かと笑っている人にも、外からは見えない悩みがある。
普通に毎日を過ごしているように見えても、
その人の内側では答えの出ない問いが回り続けているのかもしれない。
そして映像でも、SUGAの周囲がぐるぐると動き続けます。
本人はそこに立っている。
でも、世界は止まってくれない。
考えている間にも時間は流れ、人生は進んでいきます。
悩みも、時間も、思考も回り続ける。
ここでもまた、別の形をした「メリーゴーランド」が描かれているように見えました。
馬の影が回り始める――気づけば私たちも、その中にいる
さらに印象的なのが、JIMINやJINが馬の影を見つめる場面です。
最初、彼らは馬を「見る側」にいます。
ところが馬は走り始め、影が重なり、
映像そのものが回転していきます。
そしていつの間にか、
画面全体がメリーゴーランドのように回り始める。
人生も、こんなものなのかもしれません。
子どもの頃は、
大人になれば何かが分かるような気がしていました。
自分の人生を自由に選び、
思うように進んでいけるような気もしていました。
でも実際に大人になってみると、悩みはなくならない。
上がったり、下がったり。
笑ったり、苦しんだり。
そして気づいたときには、自分自身も回り続ける人生の中にいる。
メリーゴーランドを外から眺めているつもりだったのに、
いつの間にか自分も乗っている。
そんな人生の感覚を、馬の影が表現しているように感じました。
扉を抜けても、また扉――その先に「光」はなかった
MVの後半では、いくつもの扉が奥へ奥へと続いていきます。
その中に、一人ひとりがいる。
一つの扉を抜ければ終わるわけではありません。
その先には、また次の扉があります。
そして最後に、その奥を見つめているのはSUGA。
けれど、その先に見えるのは希望を象徴するような明るい光ではなく、
暗闇です。
ここがとても印象に残りました。
このMVは、
「これを乗り越えれば幸せになれる」
「大人になれば答えが見つかる」
「この先には必ず明るい未来が待っている」
そんな簡単な答えを提示してくれません。
一つの問題を乗り越えても、また次の扉がある。
そして、その先に何があるのかは誰にも分からない。
だからSUGAは、このMVの中で「答えを教えてくれる人」ではなく、
答えがないことそのものを見つめる人として置かれているようにも感じました。
それでも人生は続きます。
「ただぐるぐる、またぐるぐる」――j-hopeが歌う人生の底
そして曲は、さらに暗い場所へ進みます。
一人きりの部屋にいるj-hope。
その周囲では、馬が走り続けています。
止まりたい。
降りたい。
それでも周囲の世界は止まってくれない。
「ただぐるぐる、またぐるぐる」と繰り返しながら、
崩れていくような感覚まで歌われます。
ここは、このMVの中でも最も深い場所の一つだと思います。
人生が続いていくことは、
いつも希望として感じられるわけではない。
時には、続いていくことそのものに疲れてしまうこともある。
そんな人間の感情まで、この曲は隠さずに描いています。
それでも「止められない輪」の中で、
内側に残る「童心」が叫んでいる。
大人になって、たくさんのものを背負うようになっても、
自分の中にはまだ、子どもの頃から変わらない何かが残っている。
その声さえも抱えながら、人生は回り続けます。
考えて、考えて、また考える――RMの思考までが回り始める
j-hopeが描いた苦しさを受け取るように、
RMのパートでは言葉がさらに切迫していきます。
終わりにしたいと思うほど疲れ、夢さえ終わらせたいと考える。
それでも思考は止まりません。
考えて。
考えて。
また考える。
そして「考えないでおこう」と考えている自分に気づく。
結局また、同じ場所へ戻ってくる。
ここでは、人間の「思考」そのものがメリーゴーランドになっているように感じました。
悩んでいるとき、同じことを何度も考えてしまう。
答えが出ないことは分かっているのに、
頭の中で何度も同じ場所へ戻ってしまう。
そして投げかけられる「幸せか?」という問い。
さらに「笑ってよ」という言葉。
まるで最後の言葉のように響くほど、切迫した感情が伝わってきます。
それでも、このMVはここで「答え」を出しません。
最後、すべてのメリーゴーランドは宇宙の中へ
そして最後。
視点は、それまで見ていた一人ひとりの世界から一気に遠ざかります。
そこにあるのは、巨大な宇宙。
そして、その中に浮かぶメリーゴーランド。
ここまで私たちは、一人の人間にとって世界のすべてを覆ってしまうほど
大きな悩みを見てきました。
降りたい。
止まりたい。
答えが見つからない。
それでも考えてしまう。
本人にとっては、その一つひとつがとても大きい。
でも最後、宇宙まで視点を引くと、
その悩みも、喜びも、人生そのものも、
さらに大きな世界の中で回っているように見えます。
これは決して、
「そんな悩みは小さい」
ということではないと思います。
あれほど長い時間を使って苦しみを描いたMVが、
最後にそれを否定するとは思えません。
むしろ、
苦しいことも、楽しいことも、答えのない問いも、
すべて抱えたまま世界は回っている。
そんなふうに、少しだけ視点を広げてくれているように感じます。
『Merry Go Round』は、降りられない人生の隣で回ってくれる
このMVの中で、メリーゴーランドは最後まで止まりませんでした。
扉の先に、分かりやすい光もありませんでした。
悩みが解決したわけでもありません。
だから『Merry Go Round』は、
人生の答えを教えてくれる曲ではないのだと思います。
人生は、上がったり下がったりする。
同じことで何度も悩む。
一人で考える夜もあれば、誰かと笑える日もある。
そして、また次の日が来る。
それを繰り返しながら、私たちは生きていく。
以前、歌詞を読んだとき、私はこの曲を
「降りられない人生に、そっと寄り添う曲」だと感じました。
MVを見終えた今、その印象はさらに強くなりました。
この曲は、無理にメリーゴーランドを止めようとはしない。
「降りればいい」とも言わない。
ただ、苦しいことも、楽しいことも、答えが出ないこともある人生を、
そのまま描いている。
そして最後には、その人生さえも宇宙の中で回り続けている。
止められないなら、回りながら生きていく。
降りられない人生を、『Merry Go Round』は
隣で一緒に回ってくれているのかもしれません。
あわせて読みたい|『Merry Go Round』をもっと深く読む
今回MVを見ながら感じたのは、人生は簡単には止められないし、
そこから降りることもできないということ。
でも実はこの感覚は、MVが公開される前に歌詞を読んだときにも感じていました。
「降りられない人生に、そっと寄り添う曲」
歌詞から見えてきた『Merry Go Round』の世界を先に読んでみると、
今回のMVに描かれた「回り続ける人生」が、さらに深く見えてくると思います。
▶︎ BTS「Merry Go Round」歌詞考察|降りられない人生に寄り添う歌
もっと読む|BTS『ARIRANG』の音楽をたどる
『Merry Go Round』だけでなく、『SWIM』『2.0』『Hooligan』『Come Over』『NORMAL』など、『ARIRANG』に収録された楽曲を歌詞やMVから一曲ずつ読み解いています。
それぞれの曲をたどっていくと、兵役を経て再び7人になったBTSが、今どんなことを歌い、どんな音楽を届けようとしているのかも少しずつ見えてきます。
『ARIRANG』の楽曲考察はこちらからまとめて読めます。
▶︎ BTS『ARIRANG』楽曲考察シリーズまとめ|楽曲ごとに読み解く7人の想い
もっと読む|BTSを知る・7人の歩みをたどる
『Merry Go Round』のように、一曲の歌詞やMVをじっくり見ていくと、
その奥にはBTSがこれまで音楽や言葉を通して伝えてきた想いが見えてきます。
7人それぞれの魅力、楽曲やMVの考察、彼ら自身が語った言葉、
そしてソロ活動を経て再び7人で進み始めたBTS2.0。
このブログで書いてきたBTS考察を、テーマごとにまとめています。
▶︎ BTS考察シリーズ総まとめ|7人の魅力と音楽、言葉をたどる
📚このブログで伝えていきたいこと
このブログでは、
そんな“整っていく日々”で感じた気づきや、
赤ワイン🍷、旅のたのしみなども交えながら、
心地よく生きるヒントを、ゆるやかに綴っていきます🌿
読んでくださるあなたにも、
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