BTS SUGA考察④ |“抱えながら進む音楽”|おすすめ曲「Life Goes On」「Blue & Grey」「People」「Daechwita」MV付き!
③ 後期|受け止める音楽
“無理に前を向かなくてもいい”と教えてくれるラップ
後期のユンギの音楽には、初期のような“突破する強さ”とも、
中期の“痛みを抱えながら進む姿”とも違う空気があります。
それは、
「無理に元気にならなくてもいい」
「答えを急がなくてもいい」
という、“感情を受け止める優しさ”。
以前のユンギは、怒りや不安をラップにぶつけながら
前へ進もうとしていました。
でもこの時期の音楽では、無理に感情を変えようとはしない。
苦しいなら苦しいまま、
立ち止まるなら立ち止まったまま、
それでも生きていていいと語りかけるようなラップが増えていきます。
「Life Goes On」にある静かな支え
「Life Goes On」は、コロナ禍で突然止まってしまった世界の中でも、
“それでも人生は続いていく”という希望と回復力を描いた楽曲です。
不安や孤独が世界中に広がっていた時期に、
この曲は多くの人の共感を呼びました。
でも印象的なのは、誰かを強く励ますというより、
“隣に座ってくれるような距離感”です。
「大丈夫、頑張れ」と背中を押すのではなく、
“つらいよね”と同じ景色を見ながら寄り添ってくれるような温度がある。
ユンギのラップも、感情を無理に高ぶらせるのではなく、
静かに現実を受け止めながら、
その中で生きていく感覚を淡々と伝えているように感じます。
だからこそこの曲は、コロナ禍という不安定な時期に、
“無理に前向きになれない人”の心にも深く残ったのかもしれません。
「Blue & Grey」の“沈んだ感情を否定しない”表現
「Blue & Grey」は、BTSの中でも特に“心の影”を丁寧に扱った楽曲です。
ここでのユンギは、痛みを乗り越えようとしているというより、
“抱えたまま言葉にしている”。
無理に明るくしない。
無理に希望へ着地させない。
その誠実さが、この曲の静かな強さになっています。
「People」にある、“人間らしさ”へのまなざし
「People」は、「人間であること」の不安や孤独、
それでも互いに支え合える可能性を描いた楽曲です。
ここでユンギが見つめているのは、成功や勝利ではなく、
“揺れ続ける人間そのもの”。
嬉しいのに不安になる。
手に入れても虚しくなる。
わかっているのに、また同じことで悩んでしまう。
そんな、人間の弱さや矛盾、未完成さを、
ユンギは否定せずにそのまま音楽へ落とし込んでいるように感じます。
特に印象的なのは、
「まあいいじゃん」
「そうやって生きていくんだ」
というような、“完璧を求めすぎない視線”。
以前のユンギは、怒りや焦りを突破力へ変えながら
前へ進もうとしていたように見えました。
でも「People」では、感情を無理に整理しようとしない。
迷いも、不安も、繰り返してしまう弱さも、
“それが人間なんだ”と静かに受け入れているように感じます。
だからこの曲は、聴いていて不思議と安心する。
「ちゃんとしなきゃ」
「前向きにならなきゃ」
と力が入りすぎている時ほど、
“そんな日もあるよね”と、肩の力を抜かせてくれるような
優しさがあります。
ユンギの音楽は、この頃から少しずつ、
“戦うための音楽”だけではなく、
“疲れた人が戻ってこられる場所”のような温度を
持ち始めたのかもしれません。
「Daechwita」にある、“支配されない”という叫び
「Daechwita」は、Agust Dという存在の“強さ”と“危うさ”が、
最も激しく表れている楽曲のひとつだと思います。
韓国の伝統音楽「大吹打(テチュィタ)」をベースにした重厚なサウンドの中で、ユンギはまるで王のような存在感を見せながら、
自分自身の怒りや反骨心を剥き出しにしていく。
ここで語られているのは、単なる成功者の余裕ではありません。
むしろ強く感じるのは、
“簡単には支配されない”という意志。
アイドルラッパーへの偏見。
成功したことで向けられる嫉妬。
世間から貼られるイメージ。
そういうものに飲み込まれず、自分自身の価値を奪われないために、
Agust Dという人格をさらに鋭く研ぎ澄ませているように見えます。
特に印象的なのは、MVで描かれる“王”と“囚われた男”の構図です。
王は、成功し頂点へ立ったAgust Dの姿。
一方で、鎖に繋がれた男は、過去の自分や、
押し込められてきた感情にも見える。
つまりこのMVでは、
「理想化された自分」と「消し切れない自分」が、
ひとつの世界の中で対峙している。
勝ち誇るような強さを見せながらも、
どこか孤独で、不安定で、“心の闇”を隠し切れていない空気がある。
だから「Daechwita」は、単純な“強い曲”では終わらない。
怒り。
虚勢。
孤独。
誇り。
そういう感情が全部混ざり合った、
“Agust Dという生き方そのもの”が詰め込まれているように感じます。
そしてこの頃のユンギは、ただ優しい人ではなく、
ちゃんと“牙”を持っている。
でもその牙は、人を傷つけるためというより、
“自分を失わないため”に存在しているように見える。
だからこそ「Daechwita」には、攻撃性だけではなく、“自分自身を守るための叫び”のような切実さが宿っているのだと思います。
“戦う音楽”から、“受け止める音楽”へ
この時期のユンギの音楽を辿っていて感じるのは、
“強さの意味”そのものが少しずつ変わっていったことでした。
以前のユンギは、怒りや孤独を突破力へ変えながら、
自分を奮い立たせるようにラップしていた。
でも後期になると、感情を無理に乗り越えようとしない。
苦しい日もある。
不安になる日もある。
何度同じことで揺れてしまっても、
それが人間なんだと受け止めていく。
「Life Goes On」には、静かに寄り添う優しさがあり、
「Blue & Grey」には、沈んだ感情を否定しない誠実さがあり、
「People」には、不完全な人間をそのまま認める視線がありました。
そして「Daechwita」では、Agust Dとしての怒りや孤独を剥き出しにしながらも、“自分を失わないための叫び”が鳴っていた。
つまりこの頃のユンギは、ただ優しくなったわけではない。
怒りも、孤独も、弱さも全部知った上で、
それでも“人間を否定しない音楽”へ辿り着いているように見えます。
だからユンギの音楽は、頑張れない時ほど心に残る。
無理に前を向かせるのではなく、
“そのままでも大丈夫”と、静かに隣へ座ってくれるような温度があるからです。
ここから見えてくる、“普段のユンギ”
ここまで楽曲を辿ってきて見えてきたのは、
ユンギという人が、怒りも孤独も弱さも隠さずに
音楽へ変えてきたということでした。
でも一方で、MVやステージだけでは見えない“素の空気感”も、
ユンギを語る上ではすごく大事な気がしています。
ぶっきらぼうに見えるのに、なぜか温度がある。
静かなのに、周りが自然と集まってくる。
そして何より、ユンギは“何を持っているか”より、
“どう生きているか”が滲み出る人に見える。
だからここからは、楽曲だけではなく、普段の動画やVLOGを通して、
“音楽の外側にいるユンギ”も辿っていきたいと思います。
次に読むならこれ 👉
最初に見るのは、木工VLOG。
一見すると音楽とは関係ない、ただ木で家具を作っている動画。
でもそこには、ユンギの“ものづくりへの向き合い方”や、
“静かに時間を積み重ねる人”としての魅力が、
不思議なくらいそのまま映っていました。
次に読むなら👉BTS SUGA考察➄ 動画編①|木工VLOGに出る“素のユンギ”
💜 BTS SUGA考察シリーズ|全記事リンク
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